第93章 好き避け⦅虎杖悠仁⦆
『あ、虎杖くん』
なな が虎杖に声をかけると、虎杖は「あ~…、ワリィ」とバツが悪そうに笑い その場から去って行った。
『……………野薔薇、私 … 虎杖くんに避けられてるよねぇ?!』
近くに居た釘崎の肩を掴んで前後に揺さぶる なな 。
釘「ちょ、止め…、止めろ!」
なな の頭にチョップを食らわせ、なな を静止させると、釘崎は「虎杖と何かあったの?」と聞いた。
『何も無いよぉ…、ホントに何も無いのに急に避けられ始めた………
4人しか居ないのに……、なんでぇ??』
今にも泣き出しそうな なな の頭を撫でながら釘崎は「大丈夫よ」と言った。
釘「ちょっとタイミングが悪かっただけで、なな の気にしすぎなんじゃない?」
『そぅかなぁ……』
渋々 自分を納得させる なな 。
しかし次の日も、その次の日も虎杖は なな を避けるような態度が見られた。
『野薔薇ァ……、何で??
私 虎杖くんに何か悪い事したぁ??
切ないよぉ…』
虎杖のあからさまな態度に、なな は とうとう泣き出してしまった。
釘崎も はじめは気にしすぎと思っていたが、なな を避けているのは誰が見ても明らかだった。
なな の背中を優しく撫でた後、釘崎は舌打ちをして虎杖の後を追いかけた。
釘「おい虎杖っ!」
怒声に似た大きな声に虎杖は振り向き、「なに?」と聞いた。
釘「テメェ、あの態度は何なんだよ!
なな と何かあったのかよ」