第92章 共通点探し⦅虎杖悠仁⦆
虎「…そっか」
おとなしくなった虎杖を、なな はチラリと盗み見ると虎杖と視線が合った。
虎「……でも、俺は なな と話がしたい」
まっすぐ自分を見つめる虎杖の視線から、なな は眼を反らす事ができなかった。
虎「なな 、前みたいに いっぱい話しよーぜ!
俺、お前の笑ってる顔見たい!」
あの頃と変わらないまっすぐな言葉。
虎杖は あのヒト達とは違う、と思いながらも自分の過去を知るヒトと関わりたくないと思っていた なな は口をつむんだままだった。
虎「……じゃあ、はじめましての自己紹介しよーぜ♪
俺は今の なな の事が知りたい。
なな は今の俺の事を知ってよ」
ニッ、と笑い手を差し出す虎杖。
差し出された手を見つめ、なな は少し戸惑いながら握手をした。
虎「俺、虎杖悠仁!」
『……なな …です。よろしく…』
虎「よろしくな、なな !
これから たくさん共通点探して、なな の笑顔や声 聴かせてな!」
ぎゅっ、と握られた大きな虎杖の手の温もりは温かく心地よかった。
なな はコクンと頷いた。
虎杖は持ち前のコミュ力で、なな との共通点をあっという間に何個も見つけた。
『そんな些細な事まで?』と思うくらいの事でも、虎杖は「共通点だな♪」と嬉しそうに笑った。
そして、虎杖とも普通に会話ができるようになった頃、教室で虎杖と2人だけになった。
『伏黒くん1人の任務で大丈夫かな??』
近くの廃墟で任務に出掛けている伏黒を心配する なな 。