第82章 愛情表現⦅虎杖ver⦆
ニッ、と笑いながら そう言う虎杖に、なな は『もういいよ』と笑った。
『もう急に居なくなったらダメだからね』
そう言うと、ぎゅ、と抱き締められていた。
『え?』
虎杖に抱き締められていると状況判断するまでに少し時間がかかり、黙っている なな に、虎杖は言った。
虎「なぁ なな…、俺と付き合って…?」
抱き締めているため、相手の表情を見る事は出来ないが、虎杖は続けた。
虎「俺、秘匿死刑って言われてるけど、死なないようにするからさ…
なな の泣き顔見たらさ、俺が守ってやりたい、って思ったんだ」
『悠仁…』
虎杖の背中に手を回し、なな は虎杖の言葉を聞いた。
虎「俺じゃダメかな?」
『そんな事ないよ、これから よろしくね』
虎杖の告白をOKした なな と虎杖は、前と変わらず、仲が良かった。
だが、恋人同士となると衝突する事もあった。
『どうして悠仁は そんなに人タラシなの?!』
虎「え? 人タラシって何??」
些細な喧嘩で、毎回先に折れるのは虎杖だ。
虎「ゴメンね、なな 。
俺、なな の事、考えているようで考えていなかったのかな?
俺、直すからさ、キライにならないでな?」
そう言って、なな を抱き締める虎杖に、なな はそれ以上言う事が出来なかった。
その日も些細な事で喧嘩をした。
虎「ごめんね、なな 」
謝ってくれる虎杖に、なな はつい強い口調で返してしまった。