第82章 愛情表現⦅虎杖ver⦆
『なんで悠仁は謝ってばっかりなの?!
私は別に謝って欲しいワケじゃないの!』
そう言う なな に、虎杖は謝った。
虎「ごめんな、なな …」
自分に対して謝ってばかりいる虎杖に、なな は少し寂しそうに聞いた。
『…悠仁はいつから そんなに弱くなっちゃったの?』
なな の言葉に、虎杖は下を向いて小さく呟いた。
虎「俺は強くなんか無いさ…。
ジィちゃんが入院するようになって、俺は1人だった。1人はヤダよ…。
…なな も、俺の事を1人にするのか?」
付き合う前と今の虎杖の変わりように、なな は口をつむんだ。
すると、虎杖の左頬から宿儺がケヒ、と笑い、口を挟んできた。
宿「小僧の言う通りだぞ、娘。
こいつは強くなど無い。
それに、こいつを弱くしたのは お前だ、なな 」
『え?』
宿「小僧に同情などするからだ。
小僧は1人の寂しさを隠しながら生きてきた。それを お前が浅はかな感情で手を出すから小僧の心が弱ったのだ」
宿儺は それだけ言って消えていった。
虎「…俺を1人にしないでよ、なな …」
ぎゅう…、と虎杖に抱き締められた。
虎「俺、なな に嫌われたら 宿儺を抑え込む自信無い……。俺を捨てないで…」
ぎゅう…、と先程より力強く自分を抱き締める虎杖を、なな は弱々しくその大きな背中に手を回した。
虎「なな …。ずっと一緒に居て…」
『……うん』