第60章 眠る⦅虎杖ver⦆
If... なな ver
幼馴染みの悠仁は、祖父が急逝後 東京の高校へ転校してしまった。
虎「心配すンなって♪ ちゃんと連絡するから」
別に付き合っているわけではない。
でも、お互いに 何となく一緒に居る時間が長かったので、悠仁と離れることが なな にとっては寂しさが強かった。
虎「泣くなよ」
困ったような笑顔で、頭を ぽんぽん する悠仁の大きな手の温もりがまた胸を締め付け涙が溢れた。
虎「長期の休みになったら会おうな♪」
ニッ、と笑う悠仁は寂しさなんて感じられなかった。
『悠仁のバカぁ…、またには電話してよね』
涙を堪えながら なな が言うと、悠仁は「おう♪」と笑った。
☆ ☆ ☆
東京に行ってから、毎日悠仁から電話が来るようになった。
今日の天気とか、新しい友達の話をたくさん聞かせてくれる悠仁の声を聞いていると、ホントに隣に居るような感覚になる。
虎「 なな 、聞いてる?」
うん、と相槌ばかりうっていたので、悠仁が心配した。
虎「…なな 眠いんじゃない??」
『えっ?』
お風呂上がりで体も暖まり、悠仁の心地よい声を聞いていると眠くなってしまっていた。
虎「電話切ろうか?」
『……ヤダ…』
駄々っ子のように そう言う なな に、悠仁は「分かった」と笑い、 電話を続けた。
しかし、しばらくすると会話が途絶えるようになり、小さく寝息が聞こえてきた。
虎「なな ? …寝ちゃったんだな」
虎杖は クスリ、と笑い ひと言だけ話をして電話を切った。
虎「おやすみ なな 、俺には なな だけだから」
*おわり*