第60章 眠る⦅虎杖ver⦆
If... 虎杖悠仁ver
虎「寒くなってきたなぁ…」
肩を小さく丸め、話をする虎杖の吐息は白くなっていた。
『無理について来なくても良かったんだよ?』
なな が虎杖に言った。
虎「いーの! 俺が勝手について来たんだから気にしないの!」
『うん。でも暇だと思うよ?』
虎「俺、学校の図書館くらいしか行った事ないから、学校以外の図書館って行ってみたい♪」
そう言う虎杖の表情は嘘をついていたり、無理をしている様子は見られなかった。
『私ね、図書館の あの静かな感じが好きなんだ♪』
☆ ☆ ☆
最寄りの図書館につき、なな は適当に読みたい本を持ってきて、虎杖の隣に座った。
『悠仁にはコレ』
はい、と渡されたのは料理本だった。
虎「旨そうな料理がたくさん載ってるなぁ」
意外にも きちんと作り方を読みながらページを進める虎杖に、なな は自分の読書を始めた。
だいぶ読書に夢中になってしまい、フと隣に視線を向ければ いつの間にか虎杖が両手を枕に うつ伏せで寝ていた。
寝息とともに上下する背中を見ながら、なな は虎杖の寝顔を見つめた。
⦅ 伏黒くんも まつげ長いけど、悠仁も まつげ長いなぁ… ⦆
ワックスで固めた髪を少しだけ触れ、なな は また読書を再開した。
⦅ おやすみ、悠仁⦆
なな は少しの間、虎杖を休ませる事にした。
*おわり*