第43章 責任のとりかた⦅五条⦆
幸い、傷は浅かったが油断していた なな は右側の鎖骨から心臓付近に引っ掛かれたような爪痕がうっすら残ってしまったのだ。
思い出した なな は首を隠している服を グッと下げ、鎖骨が見えるように五条に見せる。
『もしかして、コレの事言ってるの?』
引き下げられた服の隙間から、1年生's は初めて なな の傷を見た。
五「こらぁ、男子、あんまり長く見てると怒るぞー」
『そんなに目立たないんだけど、コレ(傷)見るたびに悟が切なそうな顔するから隠してるだけだよ』
釘「確かに、目立たないって言えば目立たないけど…」
言葉に詰まる釘崎に、五条が続けた。
五「いつかウエディングドレスを着たりする時に気になっちゃうでしょ?
まぁ、なな は何を着ても似合うからハイネックのウエディングドレスとかも良いかも♡」
1人で妄想している五条を無視し、なな は『責任感じる事ないのに』とため息をついた。
五「なな は僕と結婚するのがイヤなの?」
『そもそも付き合ってないじゃん』
なな をジッと見つめる五条に、少しだけ後退りした なな だったが、腰に手を回され五条から それ以上距離を離す事ができなくなってしまった。
五「俺は なな の事ずっと好きだったよ。
傷が残ったのはラッキーだって思った。だってそれ(傷)を理由に なな から離れなくて済むからね」
急に落ち着いた低い声で公開告白をしてきた五条に、その場に居た全員が驚いた。
五「なな は僕の事キライ?」