第38章 風邪⦅宿儺&虎杖⦆
伏黒の言葉に、なな は『なに?』と言い、宿儺が ケヒッ と笑った。
宿「小僧が体調を崩して弱っているからなぁ」
宿儺の声を聞き、なな は『宿儺?』と虎杖の顔を見た。
『宿儺、悠仁は?』
宿儺に怯えることなく聞く なな の頬を宿儺は左手で撫でた。
宿「ボーッとしているな、だから こうして俺が出てこられたワケだ」
半分の力だけだがな、と なな に伝えた。
宿儺に触れられた なな は宿儺の手に触れ、おでこにも手をあてた。
『熱…あるね』
釘「熱? やっぱ風邪ひいてたのね あのバカ!」
『宿儺はしんどくないの?』
宿「俺は小僧と違ってヤワではないからな」
なな と宿儺のやり取りを聞きながら、伏黒は宿儺に言った。
伏「とにかく今は虎杖の体が優先だ。
虎杖、聞こえているなら部屋に戻って休め」
宿「ケヒッ。小僧は熱のせいで うまく動けないだろうな。俺の気分次第では この部屋を破壊することだって容易いわ」
そう言って意地悪く笑う宿儺に、ななは『それはダメ』と宿儺の左手を握った。
『そんな事したら私と宿儺は こうして逢う事も出来なくなっちゃうよ。
だから今は悠仁の部屋へ戻って』
なな のお願いと言うことで、宿儺は フン、と鼻を鳴らして条件を付けた。
宿「なな も一緒に小僧の部屋に来るなら おとなしく部屋に小僧の体を運んでやろう」
『いいよ、悠仁の熱も気になるし看病するよ』