第34章 仲間⦅五条⦆
優しく笑う夏油とは反対に、五条は何も言わず なな の方を向く事もなかった。
伊「良かった…。なな さんは急いで高専に戻って治療を受けて下さい」
伊地知の運転する車で3人は高専へ戻った。
家「なな … お前は決して弱い方じゃない……。なぜこんなにボロボロなんだ?」
高専で医学の専門授業を受けていた家入は、治療室で なな に聞いた。
『…ごめん』
家「私は謝って欲しいわけじゃないんだ、なぜこうなったのかを聞いている」
その様子を夏油と五条も黙って聞いていた。
『…相手の呪霊、女の子の姿をしていたの…。女の子の方は3級くらいだった…
でも、その女の子を操るように呪霊が天井に居たの…。その呪霊、女の子を盾にした……』
黙って聞いていた五条が荒立ちをあらわにしてため息をついた。
五「だから何?
同じ呪霊に操られてる女の子を見たら戦えませんでした、ってか?」
『……………』
五「バカじゃないの?
呪霊との戦いがマンツーマンだとでも思ってるの?」
五条の言葉に、なな は ぐっ と唇を噛み締めた。
五「子どもの姿をした呪霊なら祓わないの?
例えば自分の親しい人に化けられる呪霊だって居るかもしれないよね?
戦いの中で無情になれなきゃ殺されるのは こっちなんだよ」
夏「悟、もぅ良いだろ…なな だって分かっているさ」
五条の言葉を止めに入る夏油を無視し、五条は続けた。