第1章 夢の淵
「そ、そうだなっ
世界で1番愛してるよ!」
「あなた、恥ずかしいから
やめて……」
かなり大きな声で言ってしまったため
看護師さんにも聞かれていた
(あぁー消えたいっ)
「じゃあ大丈夫だね!
看護師のおねえさんが
お母さんはお父さんが好きで
お父さんはお母さんが好きだから
きっと良くなるよって
言ってたの!」
にぱっと笑うと
母の顔は少しだけ歪んだ
(……そっか
もうわかってたんだ)
自分は長くないと
「そうね、でもそれだけじゃないわ
私はねのことも好きだから
ぜったい大丈夫よ」
「ほんと?」
「お父さんものこと
大好きだからな!」
わしゃわしゃと頭を撫でる
「私もお母さんとお父さん
大好きー!」