第5章 ゼノ=ジェラルド
馬車の中で間取り図を受け取り目を通す。
入り口から向かって左側に執務室や客間、働いてもらう人の為の部屋が設けられていて、向かって右側は城下の一軒家と変わらない、キッチンにリビング、二階に寝室と他2〜3の部屋、納戸…といった具合だった。
ユーリ「何か他に希望はある?」
今の贅沢すぎる城になかなか慣れずにいた私はプライベートルームがこじんまりと、しかし、しっかりと確立してあるこの間取りが気に入った。
唯一注文をつけるとすると…
キャリー「窓は大きくしてほしいかな。あとバルコニーも広めで。」
星が好きなゼノ様の顔を思い出していた。
城の建設予定地はまだ整地の段階で場所の確認だけで終わった。
そこではジルが待っていた。
ジル「ゼノ様にお聞きしました。こちらにはウィスタリアからも店が沢山出る予定でいます。大変な経済効果を生みそうですよ。」
ジルとユーリと一緒に孤児院へ向かう。
子供達と戯れ、その後の花祭りでは色とりどりの花に囲まれて新居の庭を思い描いた。
帰り道、ウィスタリア城でジルと別れを告げていると、兵士が駆け寄ってきた。
兵士「シュタインよりご報告させていただきます。ゼノ様がお倒れになられました。プリンセスには早急に戻っていただきたいとの事であります!」
キャリー「ゼノ様がっ⁉︎」
ユーリの顔からも笑みが消える。
ジル「プリンセス、お急ぎください。」
馬車に乗り込みシュタインへと馬を走らせた。