第4章 アラン=クロフォード
翌日、王宮のキッチンから材料を分けてもらい、騎士団のキッチンをお借りした。
エプロンをして準備をしているとアランがキッチンに入ってくる。
後ろ手にドアを閉めると鍵をかけた。
アラン「さて、何から始める?」
調理台の上の材料を確認して尋ねた。
キャリー「んー…じゃあ、ハンバーグから。」
アラン「じゃあ、挽肉、玉ねぎ、卵、パン粉、牛乳、塩、胡椒、ナツメグ…これ以外はしまって。シーフード、特に傷むから。」
キャリー「はいっ!」
アランに言われたことを頭の中で反復しながら行動に移していく。
アラン「まずは玉ねぎ。みじん切りだけど、そんな細かくなくていい。食感が残る位に。
炒めるのはバターで。コクが出る。」
メモを取り玉ねぎを刻む。
目にしみて眉間にシワを寄せる。
アランはどこか楽しそうに眺めていた。
アラン「少し左に斜に構えてみろ。切ったのが包丁に隠れて少しはマシになる。」
私の肩を引き寄せ調理台と並行だった身体に少し角度をつける。
確かに少し目が楽になった気がした。
フライパンにバターと玉ねぎを入れて火をつける。
程なくして玉ねぎが炒められる音がしてきた。
肩越しに後ろからフライパンの中を確認して耳元でアランに囁かれる。
アラン「火を弱くして。」
吐息が耳にかかり私の身体にも小さな火が灯った様だった。
焦げない様にフライ返しでかき混ぜる。
アランの掌も私の背中から腰のあたりを撫で回した。
キャリー「ん…もう…アラン…」
後ろにいるアランを見上げるとアランは意地悪な微笑みを称えていた。
アラン「こんなもんだろ。冷めるように大き目の皿に広げて。」