第3章 ユーリ=ノルベルト
シュタインへの公務は延期となり、城では怪我をした騎士の手当てが慌ただしく行われていた。
私も手伝いを志願する。
アランの頬に絆創膏を貼るとアランが吐き捨てる様に言った。
アラン「こんなの舐めときゃ治るんだよ。」
そして隣で肩を手当てしているブラットを見る。
アラン「無茶しやがって。」
ブラットがアランを見やる。
アラン「お前、ああいう時は狭い所にいた方がいいんだよ。広い所に出たら囲んでくれって言ってるようなもんだろ。」
ブラット「…すみません。」
アランの腕をぺしっと叩く。
キャリー「ブラットは剣術が苦手なのに私を守ってくれたんだから責めないで!」
アラン「痛てー。お前、俺だって怪我人なのに」
キャリー「舐めときゃ治るんでしょ?」
言いながら腫れている部分に湿布を貼る。
その時部屋にユーリが顔を出した。
ユーリ「キャリー様。ちょっといい?」
私は立ち上がるとユーリと共に部屋を後にした。
ユーリ「今回のこと、どうやらシュタイン側の勢力が絡んでるみたい。俺がウィスタリアに来る事を良く思ってない奴がいるみたいなんだ。」
目を伏せ辛そうに告げる。
ユーリの手を握るとすぐそばにあった部屋に身を隠す。
背伸びをしてユーリにキスをすると驚いたように私を見つめる。
キャリー「私は大丈夫。ユーリは…シュタインに帰りたい?」
ユーリ「…ズルイよ。こんな事して、俺がキャリー様から離れると思った?」
腰をぐっと引き寄せられ、深いキスをされる。
ドレスを捲り上げられるのがわかった。
キャリー「だめ…ユーリ…!こんな所じゃ…」
ユーリ「誘ったのはキャリーだよ。」
艶かしい視線を送られ背中がぞくりと粟立つ。
その時廊下で私を呼ぶ声が聞こえた。
ユーリ「…残念。」
後ろ髪を引かれながら私は声の主の元へかけていった。