第2章 レオ=クロフォード
午後から公務に出掛けた私は薄暗くなった城下を城に向かって馬車で走っていた。
仕事帰りの人や恋人たちで賑わう市場は昼間とは違う顔を見せている。
そんな人々のなか、よく知った後ろ姿を見つける。
キャリー「レオ…」
声をかけようと馬車を停めてもらおうとしたその時。
レオの影になっていた人が見える。
マリアだった。
そのまま馬車は勢いを落とすことなくそこを通り過ぎ城に到着した。
そしてその日から、レオは夜私の部屋へ訪れなくなった。
数日後、私は戴冠式に着るドレスの生地を選びに仕立て屋に来ていた。
戴冠式は事実上私とレオの結婚式でもある。
婚約という立場から正式に夫婦となるのだから華やかな気持ちで選ぶものなんだろうが、今の私は到底そんな気分にはなれなかった。
そこにドアベルが鳴り1人の客が入ってくる。
キャリー「…マリア…さん?」