第2章 レオ=クロフォード
着替えを済ませるとレオが言った。
レオ「ごめんね。前戯もしないでいきなり。」
私は顔を真っ赤にして首を振る。
レオ「キャリーがあんまり可愛くてガマンできなかった。」
ソファに座るとまだ濡れている私の髪をレオが優しく拭いてくれる。
レオ「そうだ。マリアちゃんの事なんだけど、彼女は…」
言いかけた時部屋の扉がノックされる。
官僚「レオ殿はこちらにおいでか?」
レオ「なに?」
官僚「お休みのところ申し訳ない。至急確認して頂きたいことがあって…」
レオはふぅっとため息をつくと
レオ「仕方ないなぁ。」
と部屋を出て行った。
あの後、何と続けようとしたのか。気になったが私からは聞けなかった。
翌日。
朝から馬術の指導を受けていた。
休憩をもらった私はアランとベンチでお茶を飲んでいた。
キャリー「ねえ、アラン。レオって前に付き合ってた人とかいるの?」
アランが眉間に皺を寄せる。
アラン「あいつのことはよく知らないけどいたんじゃねーの?モテるしな。」
キャリー「やっぱり⁉︎やっぱりそう思う⁉︎レオってモテるよね?」
モテるという言葉に過剰に反応してしまった私を見てアランが苦笑いをする。
アラン「何だよ。城下で元カノにでも会ったか?」
キャリー「なんで知ってるの⁉︎」
アラン「マジかよ⁉︎」
冗談で言ったつもりが本当だったことに対しアランは驚いて目を見開く。
キャリー「なんかもう、自分が嫌になっちゃって。」
眉を下げため息をつく私にアランはぽんぽんと頭を叩き励ましてくれる。
アラン「お前が選んだ男なんだからモテて当然だろ?そんなやつに選ばれたんだから自信持てよ。」
アラン「それともレオなんかやめて同じ顔で女っ気のない俺にしとくか?」
キャリー「…え?」
突然の申し出に顔を上げるとアランの顔が額が付きそうな程近い。そしてその頬はうっすらと染まっている。
キャリー「アラン…?」
アランを見つめ名前を呼ぶと、途端にアランが真顔に戻り私のおでこをつついた。
アラン「ばーか。冗談だよ。ほら、練習再開するぞ!」
私は馬の方へ歩いて行ってしまうアランを慌てて追いかけた。
その時私達に向けられていた視線には全く気がつかなかった。