第2章 レオ=クロフォード
城に戻ると胸の内を洗い流すようにバスタブに浸かる。
大きくため息をつくと、遠くから羽音が聞こえた。
すると間も無く浴室の扉が開けられる。
飛び込んできたのはセバスチャンと……レオだった。
キャリー「レオ⁉︎」
突然やってきたレオにバスタブの中で身体を丸める。
レオ「あ…あれ?キャリーちゃん、泣いてないね。」
そういうとセバスチャンを睨む。
セバスチャン「ナイテル、ナイテナイ」
バサバサと浴室を旋回してセバスチャンは出て行ってしまった。
レオ「ごめん。あいつキャリーちゃんが泣いてるって言うから…。」
バスタブの脇にしゃがみ私の顔を覗き込む。
レオ「……城下にいるときから何か考えてるよね?」
キャリー「…っ!」
必死で隠しているつもりだったのにレオには全部お見通しだった。
レオ「キャリーちゃん?」
名前を呼ばれて涙がこぼれ落ちる。
キャリー「あの人と同じように呼ばないで…!」
レオが驚いたように目を見開いた。
キャリー「レオはどうして私といてくれるの?レオは皆から好かれてるのに…。
私がプリンセスだから?勅命されたから?」
堰を切ったように気持ちが溢れ出す。
レオ「違うよ。俺が一緒にいたいと思ったから…」
キャリー「自信がないの…。皆に愛されるレオに私が選ばれていいのか…。プリンセスなんて上部ばかりなのにレオを勅命してしばりつけてるんじゃないかって…。」
私の止まらなくなってしまった感情を停止させたのはレオの声だった。
レオ「キャリー。」
いつもより低い声音で真っ直ぐ私を見つめるレオに気づき言葉を止める。
レオは濡れるのも構わず私を強く抱きしめた。