第5章 訪問
食事を終えて、窓の外がすっかり暗くなってきていたので、明月はそろそろ帰ろうと、
バッグを肩にかけて廊下まできて、靴を履く前に挨拶した。
「七海さん、今日はご馳走様でした。
お料理美味しかったし、一緒にいれて楽しかったです。
あの、またよかったら遊びに来てもいいですか?」
「ええ。私も楽しかったですよ。よければまた来てください」
そう言って七海は明月の手を片手でそっととり、明月の顔のすぐ横の壁に押し付けた。
「な、ななみさん」
明月の声がわずかに裏返る。
七海の手は、明月の手がすっぽり収まってしまう大きな手だった。
「以前にも言いましたが、私は男であなたは女性。
異性の家に来たからにはある程度の覚悟があるものだと思っています。明月さんにはその覚悟がありますか?」
そう言って壁に押し付けた手をグっと力強く握られた。
「私は……」