第5章 訪問
車を走らせて三十分ほどで、七海の住んでいるマンションに着いた。
明月は七海に礼を言い、車を降りる。二人でエレベーターに乗った。
なんとなく予想はしていたが、七海は都内のマンションの高層階に住んでいた。
「どうぞ」と言われ、少し緊張しながら、七海の家に入った。
大きなソファにこれまた大きなテレビ、ダイニングテーブル、高そうな高級家電……。
七海の家はよく整頓された広いすっきりとした家だった。
「さて、ちょうど夕時ですし、始めましょうか」
と言って、七海はシンプルなエプロンを取りだした。
「明月さんはそこで好きなように過ごしてください」
と言われ、明月はしばらく大きなソファに座っていたが、やがてやることがなくて、いてもたってもいられなくなって、
「七海さん、私も何か手伝うことはありますか?」
と言ってエプロンをつけてキッチンに入り、七海を手伝うことにした。