第5章 訪問
キキッとブレーキ音、高級そうなセダンが止まった。
「明月さん、では行きましょうか」
助手席に乗り込むと
運転席から七海の声がかかる。
明月は、急に映画館の帰り道のことを思い出して、あわてて頭を振った。
運転席の方をなるべく見ないようにして座り心地のよいシートに座った。
今日は七海との約束の日だ。明月は嬉しくて昨夜からドキドキしっぱなしだった。
そしてゆうべは、また服選びに悩み、いろいろと考えた結果、ふわっとしたシルエットのブラウスと動きやすいパンツに決めた。
七海はシックな色合いのシャツを着ていた。