第1章 任務
呪力を吸われたせいで、明月の呪力は枯渇しはじめていた。
明月は、わずかに足元がふらつくのを感じる。
「虎杖くん、呪力では倒せないみたいだし、
ここは一旦引き下がって出直した方がいいのかも……」
と、明月が虎杖に言ったその直後だった。
ずっと座っていたはずの巨大な呪いがのそりと立ち上がったのだ。
そして突如、明月めがけてその腕を振り上げた。
「センパイ!!」
虎杖が明月をどんっと押しのけて、
呪いと明月との間に飛び込んだ。
そして大砲のような一撃を受けて、弾き飛ばされたのだ。
虎杖は正面から呪いの攻撃をくらい、背中から壁に激突してずるずるとすべり落ちた。
「虎杖くん!!」
明月はそう呼んだが、
次の瞬間、呪いはもう一歩前に出て、今度こそ明月めがけて大きく腕を振るった。
狭い部屋、迫ってくる呪いの巨大な腕を明月は受け止めきれず、
明月はうしろに弾き飛ばされた。
壁に衝突する——
そう思った瞬間だった。
そこに衝突の衝撃はなく、かわりに誰かの腕に受け止められていた。
「遅くなりましたが、状況は芳しくないようですね」
明月は驚き見上げる。
サングラスをかけたその人はよく知る顔だ。
七海だった。