第18章 高杉晋助《平和の象徴》※キャラ崩壊注意警報
「クックー」
再度ハトが鳴き声を上げた。
高杉は目を瞑ったまま微動だにしない。
「よく寝てられるなァ」
部屋は暑いし、頭は重いだろうし。
高杉の顔を見つめていたら、その目がパチリと開いた。
「寝てねーよ」
「起きてたの?」
「さっきからな」
○○が室内に入った時から、高杉は目を瞑っていただけで寝ていなかった。
○○は頬を引きつらせる。
「起きてたなら怖いって、その状態」
寝ていても異様だったけれど、不気味さはいや増す。
目を覚ましている状態でハトを頭に乗せている姿はとても珍妙だ。
「クックー」
ハトは高杉の頭から飛び降りると、ちょこちょこと歩き、○○の前で立ち止まった。
○○は腰を屈めてハトを見つめる。
ハトは○○の周囲をグルグルと回る。やがて○○の目の前で立ち止まると、羽を広げた。
「この子、オスかな」
ハトの生態には詳しくないけれど、一般的に羽を広げるのは異性に対する求愛行動だ。
こちらはメスはメスでも、人間ではあるけれど。
○○が手のひらを広げて向けると、ととととハトは手のひらを目指して歩いて来た。
○○の手のひらにハトの足が乗る。寸前。
「クックー!」
「きゃあ! 何してるの!」
高杉がハトの首を掴み、宙へと持ち上げた。
ハトは苦し気にバタバタともがいている。
さっきまで頭を貸していた相手に取る行動とは思えない狼藉。
高杉は窓の外へとハトを放り投げた。
それでもハトは優雅に夏空へと飛び立った。
○○は窓から身を乗り出し、ハトを見送った。