第17章 沖田総悟《夏の御祭り》
「ひゃあああ!」
突然首筋に感じた冷たさに、○○は悲鳴を上げる。
首筋から、背中へとその刺激は重みと共に下って行く。
「俺は何なんでィ」
涙目で振り返ると、沖田はラムネを飲んでいた。
それにより、○○は自分の背中にそれと同じ瓶が入れられたであろうことを知る。
「話が出来る人間なら、ここにもいるだろィ」
沖田はムッとした表情を見せていた。
「総悟君は……」
沖田と一緒にいる時は、会話が途切れることは確かに少ない。
だが、それは沖田が勝手にペラペラと喋ってくれるからで、○○が自分から話を振ることはない。
沖田が話を止めれば、他の人と同じように互いに沈黙してしまう。
自分といると、気を遣わせたり、退屈させたりしてしまうことがわかっているから、申し訳なくなる。
「ひゃああ!」
突然背中に感じた手の感触に、○○は再び声を上げる。
沖田が○○の着物の中に手を突っ込み、瓶を取り出していた。
「俺と二人の時は、喋る必要なんてねーよ」
沖田は○○の隣に腰を下ろした。
「○○の兄貴は何か気の利いたこと喋るか? いつもムスッとして、おもしろくも何ともねーじゃねーか。それでも、○○は楽しいんだろ」
沖田は瓶を○○に手渡した。
受け取ると、○○は手の中でそれを転がす。