第17章 沖田総悟《夏の御祭り》
「俺も同じだ。○○がいりゃァ、それでいいんだよ」
○○は顔を上げ、沖田を見つめた。
沖田の目は真っ直ぐに、○○の目を捉えていた。
「それに、どっちにしろ、俺が物理的に喋れなくするからな」
沖田は○○の頬を両手で挟み、顔を近づけた。唇を重ねる。
長く長く、呼吸を止められる。
「んっ、んん!!」
声を上げようにも、口は沖田の唇で強く塞がれている。
ようやく唇が離されると、○○は目一杯、息を吸った。
「次はどーしてやろうか?」
沖田はニヤニヤと笑っている。
「そ、総悟君……!?」
沖田は○○の体に腕を回すと、お姫様抱っこの形で抱え上げた。
階段を上り、人の気配がない鬱蒼とした繁みを目指す。
「知ってるか」
口角を上げ、沖田は清々しい程の笑みを浮かべている。
「好きな奴程、苛めたくなるんだぜ」
耳元で囁かれる沖田の声に、○○の鼓動は早鐘を打つ。
「兄貴にも話せねーことしてやるよ」
いつも以上に何も言えず、○○は黙ったまま沖田に連れて行かれる。
○○を見下ろす沖田の顔は、新しいおもちゃを買ってもらった子どものように楽しげだった。
(了)