• テキストサイズ

~あさきみじかしゆめ~ 銀魂短篇集

第14章 志村新八《嫁に来ないか》


「恋人のパチ恵ちゃんです」

 僕は今、○○さんの両親と、○○さんの縁談相手の前に出されている。
 突然部屋で二人きりになり、突然女装させられ、真意を聞くことをすっかり忘れていた。

 ――嫁に来てほしい。

 それは、恋人の振りをしてほしいということだった。

「なので、そちらの方とは結婚出来ません」

 ……いや、でもなぜ、女装?
 ○○さんの両親も、結婚相手候補の人も唖然としている。
 突然縁談相手を連れて来る親も親だが、○○さんも○○さんで、僕の話は一切していなかったらしい。
 いきなり女を連れて行って、ビックリしている間に話をうやむやにしようという魂胆だろうか。

「てことで、私はこれで」

 早々と立ち去ろうとした○○さんと僕を、○○さんの母親は呼び止めた。
 本当はただのお友達なんでしょ? 頼んだんでしょ? と、母親はいぶかしんでいる。
 そうだそうだと、ようやく我に返った男二人も同調する。
 三人とも、僕が男だということには気づいていないらしい。いや、気づかないもんなのか?
 僕はそんなに女らしいのかと、頬を引きつらせてその様を見ていると、

「いで!」

 突然、両手で頬を挟まれた。
/ 140ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp