• テキストサイズ

~あさきみじかしゆめ~ 銀魂短篇集

第6章 山崎退《派手なアイドルよりも地味な君の方が輝いている》


「○○さん、『反侍』のファン……ではないですよね?」
「ハンサム?」

 反侍――確か、国民的人気を誇るアイドルグループと記憶している。

「そうですよね。どうも興味がなさそうだったので」

 山崎は参道でロープを張り、人波の整理をしていた。
 その目に○○が映った。
 ○○の表情は周りのギャル達とは明らかに異なっていた。

 ――(拝殿)国民的アイドルグループ『反侍』年越しコンサート

 境内の入り口に瓦版があったという。

「気づきませんでしたか」
「まったく気づきませんでした」

 初詣は毎年の習慣。
 迷いなく拝殿に向かったため、目にしなかった。
 人混みの苦手な○○は混雑している本殿は避け、毎年拝殿に詣でている。
 それが災いし、今年はコンサートに巻き込まれる羽目になった。

「俺達も例年は警備なんてしないんですけど」

 山崎は視線の先に人混みを映す。
 無料のコンサート。全国からファンが押し寄せている。

「今年はあれですから」
「お仕事の邪魔をして、ごめんなさい」

 ○○は深く頭を下げた。

「何言ってるんですか。救護も仕事のうちですよ。知り合いだからって、関係ありませんし」

 山崎とは職場で知り合った。
 彼の上司が○○の勤めるスナックの常連で、彼を呼びに何度か訪れていた。

「それに、仕事をしながら年越しなんてうんざりでしたけど、○○さんに会えてよかったです」

 カウントダウンが始まり、○○と山崎は拝殿に目を向けた。
 山崎の横顔が視界に入り込む。
 刻一刻と新年が近づくにつれて、○○の鼓動が早くなる。
/ 156ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp