第6章 山崎退《派手なアイドルよりも地味な君の方が輝いている》
《派手なアイドルよりも地味な君の方が輝いている》
除夜の鐘が鳴り響く。
○○は初詣のため、近所の神社を訪れていた。
おじいちゃん、おばあちゃん、子ども達。
毎大晦日、微笑ましい光景を目にしていた。
だが、今年は様子が違う。
寒空の下、膝よりも遥かに丈の短い着物を纏ったギャルの大群。
○○は人波に埋もれていた。
気づいた時にはすでに遅い。
流れに逆らえず前へ進むばかり。
どうにか人をこじ開け、参道から脇へと向かう。
あと二、三歩で平穏な地へとたどり着ける。
そこまで来た所で、ギターの大音量が鳴り響いた。
「キャアアアア!」
同時に、ギャルの津波が拝殿へ向けて巻き起こった。
流れに巻き込まれ、安穏の地は遠ざかった。
そのまま流されそうになった○○の腕を誰かが掴んだ。
*
○○はしゃがみ込む。めまいがする。
ゆっくりと呼吸をすると、症状は治まってきた。
「大丈夫ですか」
「山崎さん」
顔を上げると、心配そうに覗き込んでいる山崎の顔があった。
「少し歩けますか?」
○○は小さく頷いた。
拝殿の横には摂社があり、同じ境内とは思えないほど森閑としていた。