第4章 坂本辰馬《真紅の薔薇》
突然の爆音に多くの者が洞穴の外へと飛び出した。
上空に幾隻もの戦艦が飛来している。
「こりゃ、ちっくと油断したぜよ」
この大雪の中、居所も割れていない敵を捜して幕府軍が出向いて来るとは予想していなかった。
抵抗を続ける攘夷浪士を一掃しようと彼等は奇襲に出た。
戦闘態勢を整え、坂本と○○も豪雪の中へと足を踏み入れた。
「○○、冷やくないがか」
外はさらに吹雪き、寒さが増している。
「この程度の寒さなら慣れてる」
「おんし、雪国生まれがか?」
故郷の面影を脳裏に浮かべる。
同じ雪国でも、○○の故郷は山がない。どこまでも続く平地と大きな湖がある。
湖は清く、子ども達の水練の場となっていた。寒さに負けない体は雪中での水練で培われている。
湖の周りには森林が広がり、四季折々の表情はとても美しいものだった。
「そりゃー見てみたいぜよ。この戦争が終わったら、連れて行ってくれんか」
坂本は○○に笑顔を向ける。
しかし、浮かべていたその笑顔が途端に固まる。
「いかんぜよ。コイツは死亡フラグっちゅーもんじゃなかか」
戦争が終わったら何かがしたいなどと口走れば、途端に死ぬのが世の常。
「言うた傍からぞろぞろとお出ましじゃ」
吹雪の中に幕府の軍勢が姿を見せた。
○○と坂本、他の浪士も刀を握った。
数の上では幕府軍が圧倒的。それでも個の力は浪士達が上回っている。
このままならば返り討ちに出来るはずだ。
だが突然、戦艦から大量の爆弾が投下された。