第27章 沖田総悟《ドS彼氏と毒舌彼女》
「このチャーシュー美味しい」
日が落ちても屋外の蒸し暑さは消えない。
私と総悟は涼を求めて寂れたラーメン屋へと入っていた。
「よく知ってたね、こんな店」
歓楽街の一角にある薄汚れた店。
一人では入る勇気はない。入りたくもないけれど。
だが不味そうな外観にも関わらず、味は絶品だった。
「ここの親父は何度か捕まえてるからな」
「は?」
「女の前で下半身を出すのが趣味だっつーから、困ったもんだぜ」
「変態じゃん!」
「こんな場所に店構えたのも、露出の多いネーちゃんが多いのが理由だっつーから、筋金入りの変態だろ」
「なんか、食欲失せてきた」
変な汁でも混入しているのではないだろうかと疑ってしまう。
私は箸で麺をかき混ぜた。
「変態でも、料理の腕は確かだぜ」
「ああ、変態でも、剣の腕が確かな奴もいるしね」
私の言葉に総悟はムッとした表情を見せた。
「俺といるときにヤローの話をすんじゃねー」
「ヤロー?」
「剣の腕が確かな変態ヤローは土方のことだろィ」
「アンタだろ」
「俺のどこが変態なんでィ」
「自覚なかったの?」
私はコップを取り、水を飲み干した。