第23章 東城歩《ロ●トへGo!!》
《ロ●トへGo!!》
その朝、朝餉の席に東城の姿がなかったため、いてもたってもいられずに、○○は尋ねた。
「皆さん、東城さんへは何をご用意なされたんですか」
三者三様の瞳が○○に向けられる。
「東城さん?」
お子様ランチのタコ様ウインナーを口に運びながら、
「何のことだ」
またはケチャップまみれのレタスを箸で掴みながら。
彼等は首を傾げる。二人とは違う反応を示したのは、全身男性器。
「てめーら、知らねーのか? 今日は東城さんの――」
「東城はいるか」
ワザと言葉を遮るタイミングでやって来たのではと思えるタイミングでやって来たのは、
「若! 若は東城さんへのプレゼント、ご用意なされていますよね!」
○○は立ち上がって駆け寄った。
本日、一月十四日は東城の誕生日である。
○○の必死の形相に一瞬面食らった後、九兵衛は眉根に皺を寄せた。
「柳生家門下すべての者の誕生日を祝えるわけがないだろう」
柳生家の門下生は数知れない。
廃刀令が出された今でも、セレブ剣法を学ぼうとたくさんの男がその門を叩いている。
数は少ないが、○○のように剣に覚えのある女性の入門者も見受けられる。
そもそも、柳生家の跡取りである九兵衛自身も最近まで秘されていたが、実は女性である。
「若! 東城さんは敏木斎様や輿矩様を除けば、若の次に柳生家にとって大事な人ですよ!」
柳生門下すべての人の誕生日を祝えなくとも、柳生四天王筆頭くらいは特別扱いしてもよいはずだ。
爛々と輝いた双眸を向けられ、九兵衛は困惑した表情で道場内を見回した。