第22章 高杉晋助《松下村塾のクリスマス》
食卓が片付けられ、敷物が敷かれ、三人は陣地争奪戦を繰り広げる。
「ここは俺のテリトリーだ。入ってくんな」
「テメェこそ、こっちに寝転がってくんじゃねーぞ」
「俺の範囲が少し狭いんじゃないか? 半畳分、広くしろ」
銀時が陣地を主張し、晋助は布を広げて仕切りを巡らせ、小太郎が陣地拡大を要求する。
布団を合わせてみんなでワイワイ、寝落ちするまで話が尽きない。
そんな修学旅行のような様は微塵もない。
「帰ればいいのに……」
○○は呆れながら犬猿の三人を見つめる。
「私は離れで寝ていますから、何かあったら起こして下さい」
「何かあったらって」
大喧嘩に発展するとかかなと思いながら、枕投げをし始めた三人を見つめる○○の耳元に、
「それから、寝静まった頃に晋助の夢枕に立ってあげて下さい」
松陽はそっと話しかけた。
「え、松陽先生?」
「せっかくのお泊り会ですしね」
松陽はニコニコしながら去って行った。
「ゆ、夢枕……?」
夢枕――
夢の中に死んだ人間や神仏が現れること。
「死ぬの? 私、死ななきゃいけないの?」