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~あさきみじかしゆめ~ 銀魂短篇集

第20章 坂本辰馬《出逢いも残留も偶然じゃなくて必然》


 坂本は荷を喪失したと、江戸の豪商と某国要人双方に頭を下げた。
 快援隊の信頼に関わること。
 遺失による賠償額は数億に上ったと聞いている。

「何でこんな……」

 たまたま荷を引き受け、たまたま中身を知ってしまっただけのこと。
 当人は納得して異星へ赴こうとしている。
 多額の賠償金を支払ってまで、○○を救うことは大損害以外の何でもない。
 それにも関わらず、坂本は他を顧みることなく、○○を助けた。

「わしが商いば始めたがは、貿易を通じて地球人と天人の調和ばはかるためじゃ。双方の幸せのためじゃ。わしが仲介したせいで誰かが不幸になったら、わしゃ自分が許せん」

 その笑顔は、○○の心に深く刻みつけられた。



「○○、まだ起きちゅうか?」

 その日の夜、坂本は戻って来た。
 ○○の部屋にまだ明かりがついていたため、扉をノックした。

「坂本さん。お帰りなさい」
「ケーキ、美味かったぜよ」

 船へと戻った坂本は、自室の机の上に小さなメッセージカードを見つけた。
 そこには祝いの言葉と、冷蔵庫にケーキが入っている旨が記されていた。
 あらためて、○○は祝いの言葉を直接伝える。

「お誕生日おめでとうございます」
「サンキューぜよ」

 その頭に、坂本は大きな手を乗せた。
 ○○の頬はほんのりと紅く色づく。

「わしからも、○○にプレゼントがあるんじゃ」

 坂本は○○の頭に乗せていた手をポケットへと移動させた。
 ○○の前に、小さな箱が差し出された。
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