●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)
第5章 月光〈イケ戦/信長/光秀/帰蝶/BL〉
愛しき、真白き…届かぬ月よ。
お前は、高き場所より、俺を静かに照らしておくれ。
その光があるのなら、俺は、どんな暗闇だろうと恐れず堕ちよう。
ただ、お前がそこに、いてくれるなら…
躰が、軋む。
心が、軋む。
どちらも、迎えて受け入れていく。
去りゆく、帰蝶の背中を、光秀の背が振り向くことなく見送った。
微動だにせず、その場に佇み。
その口角は、微笑んでいた。
しかし、帰蝶が去った後、その口元に笑みはない。
黄金の瞳が、獰猛に闇を照らした。
ーfinー