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●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)

第3章 Sing a song 第一幕〈イケ戦/顕如/信玄/BL〉



『♪(君が代は)
kiss me, girl, and your old one

  (千代に八千代に)
a tip you need, it is years till you're near this

  (さざれ石の)
sound of the dead "Will she know

  (いわおとなりて)
she wants all to not really take

  (こけのむすまで)
cold caves know moon is with whom mad
and dead" ♪』

(日本語訳)
 俺にキスしておくれ
 そして君のその古臭いジョークにも
 君に必要な忠告を与えよう
 死者たちの声が君に届くまでに
 何年かかったことだろう
 「彼女は本当に奪ってはならないものを
 欲しがるがそのことに気がつく日が
 来るんだろうか?
 冷たい洞窟だということだってちゃんと
 知ってる
 気が狂ったり死んでしまった人たちを
 月はいつも見てるってことだって」

歌い終わりになるにつれて、顕如の声が弱く途切れがちになる。
信玄の耳に、その声音が幻惑を生む。


――― girl?…she?


それらが全て、あの男の名前に置き換わる。
なぜそう思うのかわからない。
知らぬはずの幻想が、まるで過去の出来事のようにまざまざと脳裏を過っていく。
闇夜色した甲冑姿に、腹の底から沸々憎しみが沸き上がる。

そんな男に、お前は口付けを強請るのか。

そしてなぜ、口付けを強請る男を顕如に結びつけたのかということに、信玄はもはや疑問すら抱かない。
ただ一念に捕らわれていた。



「…妬けるなぁ…」



―――ギシリッ



気づけば、顕如が横たわるソフォを軋ませていた。

「…信玄?」

両腕で己を囲み、見下ろしてくる旧友の顔を顕如は、微睡みの中で疑うことなく見上げていた。
見下ろすことで、首襟に隠れた顕如の首筋が見えた。
そこに"あるもの"を見つけた瞬間、信玄の唇が顕如の首を噛(は)んでいた。





信玄の舌が触れるその下に、小さな赤い華が咲いていた。





<Fin>
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