●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)
第2章 Madness-狂愛-〈イケ戦/帰蝶/光秀/3P〉
零れ日に揺れる若葉がゆらゆら。
光に揺れて、優しく微笑む。
その唇が、弧を描く。
「まだ、足りないのか?」
「―――え?ぁあっやぁ…っ!」
艶やかに濡れた唇が、満留の首筋に落ち甘く噛みつき、隠すもののない白磁の肌をその手が巡る。
頬から顎へ、首筋の下を流れる温かな血潮を辿り、豊かな双丘を覆いその頂にじゃれる。
甘く震える刺激が背筋を駆け上がり、満留の頭の靄を払っていく。
優しい闇を思わせる柔らかな黒髪の下、萌黄の瞳の名が満留の身に溢れだす。
「帰蝶、さん…っ?」
満留の声音に満足そうに、萌黄が笑む。
その手が満留の胸から、ふわりとその下の白腹に触れた。
「何度も、お前の中に注いでやったというのにな」
「―――ひ、ぅっ」
その指が触れることが合図であったかのように、満留の中から熱い何かがとろりと溢れた。
溢れて流れるそれが満留の中に喪失感を生み出した。
「っ…だ、めぇ…っ」
口唇が紡ぐ声音に、満留の瞳が驚愕に揺れた。
頭の中は、真っ白だ。
理性の箍を失くした躰が、心に従順に応え悶える。
羞恥を感じる隙もなく、躰が虚無に震えて泣いた。
その耳に、ふっと楽し気な笑いが届いて。
「…んぅっ」
慰めるように、口唇に温もりが落ちた。
尚も求めるように、満留の手が帰蝶の頬へ伸ばされた時。
耳に、意地悪な声が笑った。