●○青イ鳥ノツヅリ箱○●【イケシリ短編集】(R18)
第1章 Last Supper〈イケ戦/政宗/元就/現パロ〉
「怖がりで、とことん評価しなきゃ先に進めなくて。
その癖すぐに悔やんで泣いて全部受け止めるお前だからこそ、俺はお前が信用できる」
―――本当に、大きいなぁ。
星が煌めく夜空の色が、そのまま背中の熱に重なる。
背中合わせのはずなのに、全てを見られ囁かれているように錯覚してしまう。
「今日もお前が来てくれて、助かった。ありがとな」
でもやっぱり、泣かせちまったな。などと、逆に満留の背に体重をのせ、宣う伊達医師の声はやっぱり嬉しそうだ。
やっぱりドS…と、ぽつりと零した満留の口角がふっと上がった。
「けどな」
「え?」
伊達医師の声に、聴きなれない感情の音が僅かに混じって、思わず聞き返してしまう。
「泣かせたくねぇとも、思ってる…矛盾してるよな。お前の泣き顔は見たくねぇから、専属にはしない。けど、そんなお前だからこそ任せたい、なんてな」
「なるほど……情緒不安定ですね」
「てめぇな」
不意に背中が軽くなり、代わりに太腿の上に重みと熱が降ってきた。
「…なに、してますか?」
「膝枕」
見下ろしたそのすぐその先で、夕闇色と星の光を反射する隻眼が笑って見上げていた。
「久しぶりだし、お前の泣き顔、堪能させろ」
「情緒不安定極めてますね。さっきと言う事違いすぎません?」
保冷剤を目に押し当てて、満留は再び夜空を仰いだ。
もう、涙は零れない。
膝の上、喉で笑う声が満留の耳を擽っていった。
<Fin>