第7章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
「顕現されてから二振りとも兄弟がくるのを待っていたからね、特に一期一振が顕現されて嬉しさも格別だと思うよ」
「そうだよ、結構レアなのに。璃杏さん、本当は相当な霊力があるんじゃない?」
大和守が茶化すように言うが、歌仙が少し険しい顔をする。
「今迄ずいぶんさぼってきたのだから、少し鍛刀にちからを入れて欲しいものだね」
言われて審神者は肩を少しすくめた。
「わかってるよ、歌仙さん。次は脇差か短刀が欲しいかな。脇差は部隊に一振りは欲しいし、短刀は二振り入れたいしね」
審神者の言葉に大和守はちょっとむくれて言う。
「清光も早くお願いしたいな」
「うん、ごめんね。早く知っている刀に来て欲しいよね」
皆がそれぞれ望んでいる刀がいることを改めて知る審神者は、真面目に鍛刀をやってこなかった事を少し後悔する。
「歌仙さん、今月中に次の鍛刀をやろうと思うけれど、資材は大丈夫かな」
「脇差か短刀なら大丈夫だよ」
「わかった。あっちの仕事の状況を見て日にちを決めておくね」
一期一振に本丸の生活をみんなで教えつつ数日が過ぎ、また鍛刀を行う日がやってきた。
今回は大和守が付き添う。