第6章 出会ってしまったひとりと一振り 〔肥前忠広〕
審神者はこんのすけにそっと聞く。
「審神者の霊力の高さもやっぱり関係あるの?」
こんのすけも他のテーブルの声が聞こえたらしく、審神者にひそと答える。
「さようです。審神者様の霊力の高さが、刀剣男士の錬度をあげる部分がございます。でも霊力が低くても、刀剣男士や審神者様が努力して自ら育っていく本丸もございます。だから霊力の高さだけで刀剣男士は強くなるわけではありません」
審神者はふっと息を吐く。
「そっか…私はあまり高くないから、みんなと強くなっていけるか心配なんだけど、そういう先輩審神者様のお話しが聞けたらなぁ…」
こんのすけは審神者の呟きにちょっと首を傾げた。
「そのご要望は叶うかはわかりませんが、近くの本丸との交流会で先に審神者になったかたがたと会う機会は有りますので、そのときに皆様からお話しは伺えると思いますよ」
「交流会なんてあるの?」
審神者は目を丸くする。
「はい、出席しても欠席しても良いのですが、やはり審神者様がたもヒトとお話しをたまにはしたいようで、ほとんどのかたは出席なさいます。こちらの本丸の審神者様のように、現世との生活をしているかたのほうが珍しいので」
最後は今も二足わらじで働く審神者に、ちくりと付け加えたこんのすけだった。
「わかってる。もう一部隊作れるようになったら辞めるから」
審神者はこんのすけに言い返した。