第4章 好き、だから。 〔燭台切光忠/R18〕
審神者である璃杏は厨にいる燭台切光忠に声を掛けた。
「燭台切さん、今、良いですか?」
鍋の中の汁物をかき混ぜていた手を止めて、燭台切はくるりと振り向く。
「なんだい?」
相変わらず良い声だな、と思いつつ、審神者は頼む。
「あのね、料理が作れるようになりたいの。教えてもらえますか?」
審神者の依頼に燭台切はにこやかに頷く。
「勿論良いよ。エプロンは持っているかい?」
「はい、持ってきました」
片手に持っていたエプロンを燭台切に見せると、燭台切は「じゃ、着けてくれるかな」と言うので審神者はもそもそとエプロンをその場で身に着けた。
「何からやりましょうか?」
「うん、じゃあ、そのじゃがいもとにんじんを洗ってくれる?」と燭台切が言い、審神者は洗い場の横に置いてあるざるに入ったじゃがいもを手にすると流水で泥を流し始めた。
じゃがいもを洗うと次はにんじん。
本丸の男士の人数は多く、洗う個数は半端なく多い。
時間をかけて洗うと燭台切から次の指示がかかる。
「包丁は扱えるかな?」