第3章 任務の果てに 〔陸奥守吉行〕
「ここからじゃやっぱり見えないのう」
陸奥守吉行が縁側に座って星を見ながらぼそりとつぶやいた。
「何が見えないんですか?」
審神者である璃杏が、通りがかりにそのつぶやきを耳にし聞いた。
「お、おんしか」
陸奥守はその声に振り向いた。
「いやな、ぼうえんきょう座ちゅうのがあると聞いたんじゃ」
聞いた事のない星座の名前に璃杏は首をかしげる。
「ぼうえんきょう座…調べてみますか?」
「おう」
陸奥守は立ち上がり一緒に審神者の執務室へ向かい、そこの端末に「ぼうえんきょう座…っと」と手早く璃杏が打ち込んだ。
「これ、ですね…」
端末に出た情報を璃杏は陸奥守に見せる。
「ほぅおん、これがぼうえんきょう座っちゅうか」
陸奥守は興味深そうに端末に出たぼうえんきょう座の図を見、画面をスクロールしてその星座の説明を「ほぅほぅ」と頷きながら読んでいた。
「ここからだと見ることは少し難しいですね…もっと南へ行かないと」