第8章 飛び級しますッ《場地圭介》
「オレが言うまで待ってろってことだよ、バーカ」
「ひっ」
ひゃい…と喉から空気が通り抜け、朗らかに笑う圭介さんの目の前にしゃがみ込んだ。
涙腺が緩みまくって、涙が止まらない。
顔を覆って泣き叫ぼうとしたけど、その手は私と同様しゃがみ込んだ圭介さんに捕まえられて。
そっと、圭介さんを見上げた目尻にちゅーされた。
…キスを、落とされた。
「ぅ…グスッ、す、好きぃ…ヒック、好きです、圭介さん…」
「おー。オレもだよ、蛍」
泣いてんじゃねぇよ、と言って涙を拭ってくれる圭介さんの手が、温かくて。
笑ってるから、見えてしまってる八重歯をこんな時なのにつんつんしたいなぁ…なんて考えて。
何が何だか、もうわからない。
キャパオーバーです。
でもエマちゃん。
知らない間に、必死にアタックした恋は、実っていたみたい。
一目惚れした王子様と、何とかハッピーエンドを迎えられそうです。
END