第2章 revenge2
私も怖い・・・私だって一虎さんを殺してしまうかもしれない。
準備が終わり、マイキーさんの家へ向かう。
お互い一言も喋らず、彼の家に着いた。
彼の部屋・・・元は彼の兄、真一郎さんの倉庫に向かう彼の後をついていく。
「あの、家の人に挨拶したい・・・。」
そう言うと彼は、進行方向を変える。
無言の彼にそのままついていくと、リビングに着いた。
ソファーに座るおじいさんとエマちゃんを見付け、駆け寄って行く。
「おじいさん、エマちゃん!」
「星那?どうしたの?」
「勝手ですみませんが、10日程、お邪魔させてもらいます。」
頭を下げ、少しして上げて、部屋の中をキョロキョロと見渡す。
「どうかした?」
「あ、なんでもない。」
ご両親はどこにいるんだろうと思いながら、見付けることも出来ないので、彼の元に行く。
彼は目が合うと優しく微笑んで、部屋に向かってまた歩き出す。
「マイキーさん、ご両親って、帰って来るの遅いの?」
彼は何も答えずに歩く。
彼の部屋に着き、真一郎さんの写真を見て、少しの間お世話になりますと心の中で呟いた。
彼はベッドに座り私を呼ぶ。
前に立つと、ぎゅっと抱き締められる。
驚いて声を上げそうになったが抑えて、彼の頭を包み込んだ。
ふわふわの髪の隙間に指を通して、梳く・・・。
「い"って!!」
「あ!ごめんっ!!」
思いっ切り指が引っかかった。
「オレの髪、絡まり易いから。」
彼の寝起きを思い出した。
触れないようにはしてたが、いつもボンバーなってた。
また口を閉じて、私の太ももに触り、そのまま彼の上に跨るよう促される。
彼の足に跨り座ると、またぎゅっと抱き締められる。
「オレの知らないとこで、殴られんな。本当は絶対に誰にも殴らせたくない。けど、オマエは喧嘩すんだろ?」
「うん、ごめんね。」
腕の力を少し緩めて、顔を上げる彼の黒い瞳を見つめると、唇が触れた。
すぐに離れると、おでこをくっつけたまま話し始める。
お互いの視線はぶつからない。
「親、いねぇんだよ。2人とも死んだ・・・シンイチロウがオレとエマの親代わりだった。」
そう話す彼の声が、震えていた。