第2章 revenge2
「星那、オレん家来い。」
手当てが終わる頃、彼はやっと言葉を発した。
彼は立ち上がり、玄関に向かう。
「あっ、待って!」
おばさんも一緒に玄関まで来てくれた。
「おばさん、千冬のこと、お願い。」
「当たり前じゃない!お願いされなくても、息子だからね。」
その言葉に微笑んで返す。
足元に目をやり、そこにいる子にも声をかける。
「ペケJも、お願いね。」
「にゃー。」
頭を優しく撫でる。
前に千冬が拾った黒猫だ。
何故か、場地さんに似てると思った。
私たちは千冬の家を出て、バブに跨る。
彼にぎゅっと抱き着くと、エンジンをかけフカシ、一気にスピードを上げて走り出した。
「10月31日。」
「ん?何が?」
「半間がその日が、東卍と芭流覇羅の決戦の日って・・・。」
彼は何も言わず、スピードをぐんぐん上げていく。
流れる景色も見ることをせず、ただ彼の背中に頭を預けた。
エンジンが止まり顔を上げると、そこは彼の家ではなく、私の家だった。
「着替え持ってこい。10日分くらい。」
驚いて顔を見ると、無表情だが、どこか寂しそうに見えた。
「芭流覇羅とヤるまで、一緒にいてくれ。」
時間がかかる為、彼も一緒に中に入った。
出来るだけ早く準備をする。
彼に断りを入れて、母に彼のところにいることをメールした。
すると、すぐに着信音が聞こえてきた。
電話って・・・仕事中じゃないの?
彼に電話が着たことを伝えて、電話に出る。
「あんた、そんな何日も、何考えてんの!?」
電話に出た瞬間、そんな声が鼓膜が破ける程、響いた。
その声が聞こえたようで、彼に携帯を寄越せと言われ、躊躇したが渡した。
「マイキーです。すいません・・・オレが1人でいれないんです。10日程、星那を貸してください。バカなこと言ってるのはわかってます、でも・・・彼女じゃなきゃダメなんです。」
私じゃなきゃ、ダメ・・・。
「兄貴を殺した奴に会うんです。たぶんオレはそいつを殺してしまうかもしれない・・・星那に止めて欲しいんです。」
母が許したのか、携帯を閉じて、私に帰ってきた。
怖いんだ、一虎さんに会った時の自分が・・・。