第2章 revenge2
家庭科室の前で足音が止んだと思ったら、扉が勢い良く開けられた。
家庭科室が静寂に包まれる。
「マイキーさん!?」
扉の前に立っていた彼は、私と目が合うと、ズンズンと近付いてくる。
そして目の前で止まり、感情が読めない目で私を見つめ、低い声を放った。
「浮気かよ。」
「・・・・・・へ?」
突然、意味のわからないことを言われたので、思考が停止してしまう。
「三ツ谷とコソコソ会いやがって。」
目が怖い・・・。
漆黒の感情を読めない瞳が、私を睨んでいる。
無表情だし・・・これ、相当怒ってる。
てか、なんで私が三ツ谷さんと会ってるのを知ってるの?
「星那ちゃん、悪ぃ・・・オレが言った。」
三ツ谷さんは困ったような顔をして、手を顔の前に出し言った。
「おい、星那。」
マイキーさんが責めるように私の名前を呼ぶ。
何さ、マイキーさんが一虎さんのこと教えてくれないから、三ツ谷さんのとこ来たのに・・・なんでそんな風に怒られなきゃいけないの?
浮気って・・・私はこんなにマイキーさんのことを想ってるに、なんで私の気持ち、信じてくれないの?
怒りや悲しみ、悔しさとかいろんなものが込み上げてきて、泣きそうになるがぐっと堪えて、彼を睨み返す。
「一虎さんのこと、聞きに来ただけっ!!」
そう言って、家庭科室を飛び出した。
マイキーさんの怒った声と、三ツ谷さんの焦ったような声を無視して学校を後にした。
適当に走って、疲れてきたから歩く。
街中を、すれ違う人々をボーッと眺めながら歩いた。
すると、よく見知った人物が視界に入る。
あの金髪、タケミチくんだ。
誰かといるようだ。
黒髪に金のメッシュが入っていて、溝中の制服を着ている。
あんな人、うちの学校にいたっけ?
首筋に何かを見付けて、目をこらえて良く見てみると、虎のような刺青が見えた。
もしかして、一虎さんっ!?
さっき、三ツ谷さんに教えてもらった彼の特徴を思い出し、目をみはる。
急いで駆け付けて、声をかけた。
「タケミチくん!!」
「ん?あ、星那ちゃん!」
タケミチくんと一緒に振り向いた彼の顔に目をやると、涙ぼくろが目に入った。
間違いない、一虎さんだ。