第1章 revenge1
タケミチくんが怒鳴ったあと、マイキーさんの顔が怖くなった。
これはまじでやばいかも。
彼らに向かって走り出した。
やばい、タケミチくんが殴られるっ!
一気にタケミチくんの肩を引いて入れ替わる。
くるっ!
思いっきり目を瞑って、身構えた。
「っ!?危ないよ。」
いつまで経っても衝撃は来ず、そのかわり、優しい彼の声がした。
殴るフリだったんだ。
始めから彼はタケミチくんを殴るつもりはなかったんだ。
よかった。
少し話して授業が終わってから校舎を出ると、彼らがいた。
「あっ!」
マイキーさんは私と目が合うとにっこりと笑って、近付いてきた。
「さっきはごめんね。」
「だ、大丈夫です!」
やばい、心臓が持たない。
20年間ずっと想い続けた彼が目の前にいる。
私に話しかけてくれている。
「名前は?」
「三浦星那です!」
「星那、今日からオレのダチな!」
名前を・・・名前を呼ばれたー!!
しかも、ダチだって!
もう死んでもいいかも。
ヒナがずっとマイキーさんに謝ってる。
タケミチくんと私は、マイキーさんたちと一緒に帰ることになった。
自転車に2人乗りだ。
タケミチくんが漕いで後ろにマイキーさん。
私はドラケンさんの後ろに座ってる。
とりあえずタケミチくん、そこ変われ。
風を浴びて走っていると、マイキーさんからある言葉が聞こえてきた。
「オレ、10コ上の兄貴がいてさ、死んじまったんだけどネ。」
その言葉を聞いて、すごく苦しくなった。
ドラケンさんの背中にしがみつき、頭をつけて、泣かないように歯を食いしばった。
「無鉄砲な人でさ、自分より全っ然強ぇ奴にも平気で喧嘩挑んじゃうの。」
「へー、かっけぇ人だったんすね!」
本当にかっこいい人。
マイキーさん、あんな笑顔で・・・大好きだったんだね。
「タケミっちと星那、兄貴に似てる。」
「「へっ!?」」
びっくりして思わず顔を上げた。
その拍子に堪えていた涙が溢れてしまう。
「ドラケンさん、私はマイキーさんのお兄さんのようになれるでしょうか。」
「あいつが似てるってんだから、なれるんじゃね。」