第1章 revenge1
少し離れてタケミチくんについていく。
何か言っている。
何かは聞き取れない。
マンションの入り口のドアを出たところで、誰かにぶつかったみたいだ。
「タケミチくん?」
この声・・・・・・ヒナっ!?
本当にヒナがそこにいるの?
とりあえずヒナの部屋に入って話すことになった。
のだが・・・。
一向に話し出す気配がない2人。
直人くんに関しては、その2人の様子が気に食わないのか、指でテーブルをトントントントンと叩いて、相当イライラしている。
「あ・・・・・・あの・・・。」
「はい!!」
「・・・いい天気だね!!」
「はい!!」
「曇りです。」
あははは・・・どんだけ緊張してんの。
ほんのちょっと前まで会ってたんじゃないの?
確かにヒナにとっては12年前でも、タケミチくんにとっては何時間か前でしょ。
「2人とも久しぶりに会ったのになんなんですか?一言目が天気?積もる話があるでしょうに。」
直人くん、今にも爆発しそう・・・。
あまりにもイライラし過ぎてて、怖い・・・。
目の前にいるだけで怖いのに、余計怖い。
また何も話さなくなってしまった。
直人くんが帰ると言って立ち上がった。
直人くんと2人きりになるのは怖いが、この2人の空気の中にいる方がきついと思い、直人くんの後をついていく。
その瞬間、タケミチくんが直人くんの足にしがみついた。
タケミチくんが泣きべそをかき、叫んでいる。
「2人っきりになったら、オレ心臓飛び出て死んじゃうよ?直人はオレを殺すの!?それでもオレの親友かよ!?」
「親友じゃありません。離してください。」
「ひでーよ!!オニ!アクマ!!」
すごい必死。
その瞬間、ヒナが吹き出した。
「タケミチくんは変わらないね。」
と笑って出た涙を拭った。
ヒナも、全然変わってない。
私の知ってるヒナだ。
「ドライブでもしますか?その方が話しやすいでしょ?ボク運転するんで。」
タケミチくんに根負けしたのか、直人くんがそんな提案をする。
待って・・・ドライブって私、直人くんの隣じゃないよね?