第1章 revenge1
「何かあったんですか?」
直人くんが車を走らせながら、聞いてくる。
「あ、えっと・・・。」
歯の根が合わずカタカタと鳴り出す。
「星那ちゃん?」
助手席に座るタケミチくんが振り向いて問いかけてくる。
自分の身体をぎゅっと抱き締めて、震えを落ち着かせようとする。
「た、タケミチくん・・・。」
タケミチくんの左肩をぎゅっと掴んだ。
「怖いの・・・。直人くんが怖い・・・。」
「直人が?」
タケミチくんは怖くないのに、直人くんが怖い。
「さっきもマイキーさんが1人で私の部屋に入って来た時、すごく怖くて・・・でもマイキーさんが従兄弟を呼んでくれたおかげで、彼とも話せるようになって・・・。」
先程、過去であったことを話した。
「そっか、そんなことが・・・。」
「すみません、星那さんはどうして男性が怖くなってしまったんですか?」
直接直人くんと話すのは、怖くて震えてしまう。
「察しろよ、直人!」
「え?・・・・・・あ、そういうことですか。そういうことする男たちは理解出来ません。」
直人くんは苦虫を齧ったような顔をした。
そういえば、マイキーさんは?
携帯を見て、マイキーさんの連絡先を探す。
どうして・・・どうしてないの?
私はまた彼の隣にいれないの?
「な、直人くん・・・マイキーさんは・・・?」
勇気を出して震える声で聞いた。
「東卍です。」
「東卍はどうなったの・・・?」
「変わってません。」
そんな・・・。
ドラケンさんが生きてるのに・・・どうして・・・。
隣にいることだけじゃなくて、救うことも出来なかったの?
「着きましたよ。」
車を降り、ヒナが住む階まで上がって歩いていると、突然タケミチくんの様子がおかしくなる。
「オレ・・・やっぱ、会うのやめとく。」
どうしてそんなこと言うの?
ヒナの命は救ったけど、そんなのヒナは知らないからと言う。
「幸せになっていてくれれば、それでいいんだ。」
そう言って、来た道を戻り階段を降りていく。
「待って、タケミチくん!」
急いで彼の後を追いかけた。