第1章 revenge1
千冬がマイキーさんを呼びに部屋を出た。
深呼吸して、頭を落ち着かせる。
彼と付き合って現代に戻っても、私は彼の隣にいなかった。
結局私は、彼の隣にいることは、出来ないんだ。
千冬が一声かけて、部屋に入ってくる。
布団を頭から被り直し、私の姿が見えないようにする。
「星那、顔、出せねぇか?」
「こんな私、見せたくない。」
ずっと泣きっぱなしで目は腫れてるし、おでこにも傷があって、肌もボロボロで、胸はさっき掻き毟ったせいで血だらけだ。
そして、彼以外の男の人に触れられた身体。
「星那、オレが怖い?」
「っ!・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいっ・・・誓うって言ったのにっ・・・。」
「大丈夫だから・・・また最初から始めよう。オレはオマエと一緒にいたい。」
どうして、そんなこと言ってくれるの?
私は誓ったことを破ったんだよ?
貴方以外の人に身体を触らせたんだよ?
近くにいた千冬の腕にしがみついた。
布団の隙間から見える彼の顔は、傷付いた顔をしていた。
壊れない、傷付かない、怖くない。
私はそれを全部、破った。
そして彼を傷付けた。
傷付けないって言ったのに・・・。
怖いという感情を必死に無視して、身体をガクガクと震わせながら、千冬の腕を離し彼に近付いた。
彼の前で布団を床に落として、震える足で必死に立ち続けた。
「私、こんなん、なっちゃったの・・・。」
鼻水を啜り、嗚咽をつきながら言葉を紡ぐ。
「すごく、汚くて、醜いでしょ・・・?」
立っていられずに、その場に座り込む。
どうして、私ばっかりなの?
どうして、私ばっかりこんな思いしなきゃいけないの?
私はただ彼を幸せにしたいと、願っただけなのに・・・。
「オマエは全然、汚くもないし、醜くもねぇ、オレの方がずっと汚れてる。」
「え・・・?」
貴方はそんなにキレイじゃない・・・。
仲間の為に、怒って、悔しんで・・・故人を思って泣いて・・・そんな人が汚れてるはずない。
「オレはオマエとこうして出会う前、いろんな女と寝た。身体だけの関係だ。好きだと言ってくる女は、突き放して傷付けた。そんな奴、汚れてねぇと言えるか?」
そんなの・・・貴方のことだから、何か理由があったんでしょ?