第1章 revenge1
これでもう、マイキーさんとも終わりだ。
唇も身体も守れたけど、胸には赤いくっきりとした歯型があり、顔には傷がある、彼の隣には立てない。
「星那!!」
「ヒナ・・・私、私っ・・・あっ、うぅ・・・あぁあああっ!!」
苦しくて悲しくて悔しくて、声を上げて泣いた。
ヒナは私を優しく抱き締めてくれた。
「もう大丈夫だよ、星那。」
「ヒナっ・・・ヒナヒナヒナっ・・・!!」
どのくらい泣いていたかわからない。
やっと落ち着きを取り戻した私は、タケミチくんの力になってあげてと言い残し、ヒナを残して家に帰った。
せっかくお母さんにやってもらったのに・・・怒るかな。
恐る恐る玄関のドアを開けた。
「星那、雨大丈夫・・・どうしたの、それっ!?」
「あはは、転んじゃった。」
しっかりと着直すことが出来ずにずれた襟と裾、全身泥だらけで、おでこからは未だに血が出たままだ。
「あんたはもう、何歳なってもこんな派手に転ぶのね。」
お風呂に連れていかれ、浴衣を脱がされる。
髪も解いてもらい、シャワーで汚れを落として、お風呂に浸かった。
たぶん、お母さんにバレた。
胸に真新しい歯型があるんだ。
何かあったかお母さんは気付いてて、何も言わないでいてくれる。
お風呂を上がるとお母さんが傷の手当てをしてくれた。
その後は眠ることも出来ずベッドの上で横になり、ただぼーっとしていた。
メールが着たことを告げる音が部屋に響いた。
ゆっくりと動き出し、携帯を開いてみる。
今は誰とも話したくないんだけどなぁ・・・。
メールはタケミチくんからだった。
《 ドラケンくんは生きてる!マイキーくん、安心して泣いてたよ。》
っ!?
「ふっ、う、あ・・・。」
タケミチくん・・・タケミチくん、ありがとう。
私はまた何も出来なかったけど、これでみんな助かったんだ・・・。
私は過去に来ても、ただマイキーさんの隣にいれることが幸せで、しなきゃいけないことは何も出来なかった。
必死でしようとしてなかったんだ。
どうせ私なんか、頑張っても何も出来ない。
もう終わりによう、彼の隣に私なんかがいちゃいけない。