第1章 revenge1
今日はマイキーさんと武蔵神社のお祭りに行く。
「珍しいわね、星那が浴衣着たいなんて・・・。」
お母さんに浴衣を着付けてもらっている。
小さい頃、浴衣を着てお祭りに行き派手に転んだことがきっかけで浴衣を着なくなってしまったが、特別な人と行くから、特別な格好をしたい。
「ヒナちゃんと行くの?」
「あ、えっと・・・うん。」
「あれ、ヒナちゃん彼氏いたわよね?もしかて3人で?」
一応、神社までは一緒に行くけど、それからはそれぞれ別行動だ。
ヒナとタケミチくん、エマちゃんとドラケンさん、そして私とマイキーさん。
「神社では別・・・。」
「!、あんたもしかして、彼氏出来た?」
黙って下を向く。
「いつの間に・・・!?」
「うるさいな、もう・・・早く着付けて!」
楽しそうにする母を見て、嬉しくなる。
現代ではもういない、お母さん。
両親は殺された。
24歳の時だった。
両親共に刑事で、その時すでに巨悪化していた東京卍會の潜入調査をしていた。
そのことを知ったのは、亡くなった後だった。
東卍のメンバーに身元がバレた両親は殺された。
両親が殺されても、彼を憎むことは出来なかった。
「さっ、終わったわよ!」
「わっ、可愛い!ありがとう!」
髪を結ってもらい、とても可愛くなった。
これなら、マイキーさんでも照れてくれたりするかな・・・?
母は私に浴衣を着付ける為に、仕事を早く切り上げて来てくれたのだ。
感謝しかない。
「彼氏も喜ぶわよ〜!」
「えへへっ、そうならいいな。」
ごめんね、お母さん。
お母さんはその人に、未来で殺されたんだよ・・・。
その時、携帯がメールが来たことを知らせた。
「な、なんで・・・。」
「星那?」
マイキーさんからのメールだった。
《 悪ぃ、今日行けなくなった。》
たったそれだけの、理由も何もない、簡単な文面だった。
唇をぐっと噛んで涙を堪えた。
どうしてよ、行くって言ったじゃん。
嬉しそうに言ってたじゃん。
せっかく可愛くしたのに・・・。
「マイキーさん、行けなくなったって・・・。」
「え?そっか・・・じゃあお母さんと行く?せっかく浴衣着たんだし。」
マイキーさんのバカ・・・。