第7章 revenge4.5
誰か知らない男の人が運転する車の後部座席の真ん中に乗り、両端には灰谷兄弟がいる。
3人だと近いな・・・万次郎みたいには、くっついて来ないけど。
っ!?
蘭さんにいきなり手を掴まれた。
躊躇いながら声をかければ、ニコッと微笑まれる。
「あんなおてんばだった娘が、キレイなったな。」
「おい兄貴、ボスに殺されるぞ。」
苦笑いでお礼を言うと、手を離してくれる。
おてんばで悪かったですね・・・彼の隣にいるには、強くなきゃいけなかったんですよ。
その後ずっと無言で、しばらくすると車が止まる。
廃墟・・・?
この廃墟が、梵天幹部の今のたまり場らしい。
ころころ変えてるのかな。
でも、幹部ってことは、他の人が来る時は違うとこなのかな。
廃墟の中に入って行くと、奥に物の上に座っている万次郎の姿を見付けて微笑みかければ、手を差し出されたので、駆け寄ってその手を握る。
そうすれば、引き寄せられて、彼の胸に収まった。
「今の家を出る。見付かるまで、誰の家にいてぇ?」
家、バレちゃったもんね。
誰の家がいいか、か・・・。
ここにいるのは、連れて来てくれた灰谷兄弟、三途さん、ココさんに、あれは・・・鶴蝶かな。
あとは・・・あのおじさん、誰?
それと、もう1人誰かわからない人がいる。
首を傾げると万次郎が教えてくれた。
あの髭のおじさんは、モッチーこと望月莞爾らしい。
関東事変が始まる前に、私と千冬を殴った人か。
もう1人は、相談役の明石武臣という人らしい。
この人は、全然わからない。
消去法で・・・・・・鶴蝶かな。
「鶴蝶・・・くん、なら・・・。」
すぐに万次郎が鶴蝶に頼んで、鶴蝶はあまり表情を変えずに了承した。
鶴蝶が1番真面目そう・・・ココさんでもいいかと思ったが、絶対からかわれるのでやめた。
その話はそれで終わり、梵天に裏切り者がいるみたいだ。
まだ裏が取れていないみたいで、動けないらしい。
万次郎はみんなと話しながら私の脇に手を入れて持ち上げ、自分の膝に座らせる。
こんな細くなってるのに、どこにそんな力があるのか、本当に謎だ。
大人になっても変わらずみんなの前でいちゃいちゃするが、なぜだかみんな、もうあまり気にしていない。
最初はあんなに珍しそうだったのに。